医療的ケア児の通学支援について

今回は、医療的ケア児の通学支援について、概要や利用までの流れについてご紹介いたします。

■医療的ケア児通学支援とは?

特別支援学校に在籍し、医療的ケアの必要度が高くスクールバスによる通学が難しいお子様を対象に送迎用車両(福祉タクシー等)や同乗する看護師の費用をお住まいの都道府県が支援する、という制度です。

日本ホームナースセンターは、保護者の代わりにお子様の登下校に付き添う看護師を手配しています。

【対象となるお子様】
①乗車中に医療的ケアが必要なため、通学時にスクールバスが利用できない児童等
②福祉タクシー等の乗車中に必要な医療的ケアは、学校で承認を受けた範囲のものであり、主治医から訪問看護事業所等と学校に指示(指示書)が出ている児童等
③体調が安定しており、定期的に登校することができる児童等

【実施可能な医療的ケア】
・吸引(口腔内、鼻腔内、気管カニューレ内)
・気管カニューレ・エアウェイの管理
・経管栄養(経鼻胃管、胃ろう、腸ろう)
・薬液吸入・水分吸収
・酸素療法
・人工呼吸器管理
その他、学校が認めたもの

■医療的ケア児支援法が施行されるまで

ご自宅から学校までの距離が遠いお子様は、通学中の車内でも医療的ケアが必要な場合が多くあります。
例えば、吸引が必要なお子様は痰や唾液などの分泌物を自分で吐き出すことができず、呼吸困難になってしまいます。
そのため2時間おき等の決まった時間に実施するのではなく適宜実施が必要となります。
しかし、動いている車内で実施するのは危険性が高く、一度バスを停車させてから実施する必要があることや他にもたくさんのお子様が乗車しているためスクールバス内での実施ができないのが現状です。

その他にも、ランドセルのほか毎日可搬型の吸引器を持ち運んだり、
気管カニューレを使用している場合には、誤って抜去してしまわないよう常に見守り
万が一抜去してしまった際には、再挿入できる看護師の同乗が必要になる等
スクールバスで通うには記載できないほどたくさんの課題があります。
そのため、この支援法が施行されるまでは必然的に保護者が自家用車にて送り迎えするしかありませんでした。

毎朝、保護者はお子様の様子をバックモニターで確認しながら運転。
途中で吸引が必要になると、安全な場所を探して車を停車し、吸引を実施。
そうすると、時間通りに学校に間に合わず、保護者も仕事の出勤時間に間に合わない、
そもそも職場選びや働き方にも一定の制約がかかってしまう、、等と、保護者の負担もかなり大きなものでした。
そのため、なかには学校へ通うことを諦めざるを得ないご家庭もありました。

■通学支援を利用するには?

各都道府県によって利用の手続きについて少し違いはあるようですが、
現在、当センターが実際に支援させていただいている地域を元にご紹介させていただきます。

まず、通っている学校に医療的ケア児支援法の利用対象かを確認し、福祉タクシーと看護師の手配を行います。
その後、主治医へ「訪問看護指示書」を発行してもらい看護師が所属している事業所へ提出。
事業所は対象の都道府県と契約を結び、いざ支援スタート!となります。

日本ホームナースセンターでは、皆様の大切なお子様をお預かりするため、
安心してお任せいただけるよう事前に何度も打ち合わせをし、試走を実施します。
まずは看護師も交えて保護者、お子様とお会いし、
お身体状況や必要な医療行為について、お子様の性格や普段の生活リズム等様々お伺いさせていただきお子様お一人おひとりごとにマニュアルを作成いたします。
その後、福祉タクシー等も交えて実際の通学ルートを試走し
作成したマニュアルに問題がないか、新たに発見した課題や留意点をマニュアルへ追加する等し保護者と何度もすり合わせを行います。

また、突然のお熱や体調の変化時や悪天候等による臨時休校となる際に、関係各所へ一括で連絡ができるような体制づくりや
万が一、担当の看護師が体調不良等でお休みとなってしまった際にお子様が学校を休まざるを得なくなってしまう、、ということがないよう、臨時の看護師も確保しております。

支援当日は、学校の担任の先生や学校専属の看護師とも連携をとり
登下校中の車内や学校内でのご様子、実施した医療的ケアの詳細を毎日申し送りしています。
目が届かない間のご様子もお伝えすることで、保護者への安心感はもちろんのこと
日々の関係各所とのスムーズな連携を目指しています。

■例)支援当日の流れ

8:20  看護師がご自宅へお迎え
保護者より、前夜からのお子様のご様子・普段と変わったことがないかを伺う。
(睡眠時間や、起床してからお手洗いに行ったか、医療ケアの実施回数等)
ランドセルや可搬型吸引器等の荷物を預かる。

8:30  介護タクシー到着後、乗車

動脈血酸素飽和度(以下「SpO2」という)と脈拍数を測定し記録シートへ記入。
異常がないことを確認し、学校へ出発

途中、医療的ケアが必要な場合は、その旨をドライバーへ伝え安全な場所へ停車してもらう。
完全に停車したことを確認し、医療ケアを実施(ケア前後でSpO2と脈拍数を測定し異常がないことを確認する)
実施した医療的ケア内容を記録シートへ記入し、再出発

9:00  学校到着
SpO2と脈拍数を測定し記録シートを記入。
体調の変化がないことを確認し、教室へ向かう

担任と合流し、体温とSpO2、脈拍数、カニューレの抜去がないかを二者間で確認。
保護者から伺った情報の申し送りをする。
忘れ物がないかランドセルの中を確認してもらう。

学校専属の看護師がいる保健室へ、担任と一緒に移動。
再度、カニューレに抜去がないかを学校専属の看護師、担任と三者間で確認し、
問題ないことが確認できたら記録シートに引き継ぎサインをもらい、付き添い看護師は解散。

15:20 下校の時間に合わせ看護師が学校へお迎え。
担任より学校内でのご様子や実施した医療ケアの詳細を伺う。

15:30 介護タクシー到着後、乗車
SpO2と脈拍数を測定し異常がないことを確認し記録シートへ記入。
ご自宅へ出発

16:00 ご自宅到着
再度SpO2と脈拍数を測定し異常がないことを確認し記録シートへ記入。
保護者へ、担任や学校専属の看護師から伺った情報の申し送りをする。
記録シートへ引き継ぎサインをもらい、付き添い看護師は業務終業。

■実際に利用している方の声

「毎日の送迎が、高校を卒業するまでずっと続くと思っていたので
玄関先でいってらっしゃい!と言う日が来るなんて思ってもみなかったです。」

「私が送迎をしているときは、本当に毎日想像もできないイレギュラーなことが様々起こり、仕事に遅れてしまうことが多々ありました。
とても理解のある会社ですが、どうしても申し訳なくて、、。
支援を利用できるようになり、始業前に出社できることがとてもうれしいです!」

「周りのご家庭で介護タクシーで登校する子供は珍しいので、
支援開始当初はママ友から”どうしたの?”と聞かれることが多く、この通学支援について話すと
”うちも使いたい!”と手続きについて聞かれることもありました!」

「利用するまでの手続きがとても大変でした、、。
同じ学校に通うママ友も、この支援を利用したいけど手続きが大変そうと言ってなかなか踏み出せないみたいです。」

実際に利用をスタートされている方からは、この法律ができてよかったというお声がある反面、
すべてのお子様が利用できているわけではないのが現状です。

■まとめ

日本ホームナースセンターは、2023年度より医療的ケア児の通学支援を実施しております。

支援をスタートしてからお子様が慣れるまでは、事務局のスタッフも定期的に同乗させていただいております。
最初は、初めて乗る介護タクシーや保護者がいないことに少し戸惑ってしまうお子様もいますが
徐々に慣れ、看護師に心を開いている姿を見るととても嬉しく思います!

過去には、天候が悪い日に道路が予想以上に渋滞しており学校の到着時間が遅れてしまったり、
担当の看護師が風邪を引いてしまった際は、急遽代打の看護師を手配し
同行して一連の流れを説明しながら無事に学校へ送り届けたというハプニングも経験してきました。

また、たくさんの方のお話を伺うなかで
学校だけでなく主治医や利用されている放課後等デイサービス・訪問看護等、それぞれに毎日提出が必要な書類があったりと、関係各所との連携がとても大変なことを知りました。

そんな中、前述の「実際に利用している方の声」にあるように
この通学支援を利用するためには毎日の送迎や生活、仕事の合間に利用の手続きを行わなければならない、、
保護者にとって、事業者(福祉タクシーや看護師)探し、確保する事がとても大変な作業となります。
また、日常生活上でのお悩みやニーズも百人百様あると思います。
日本ホームナースセンターでは、これまでに得た知識と経験を生かし、
支援を必要とするお子様にとって何が最善の方法か、保護者と一緒に模索しながら
お一人でも多くのお子様が毎日元気に学校へ通えるようサポートしていきたいと考えております。

日本ホームナースセンターは、全国に登録看護師がおります!
ご自宅地域に対応可能な看護師がいるか?の確認のみでも構いません。
どんなに小さなことでもお気軽にお問い合わせくださいませ。

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